革新的ピックアップ、Railhammerを設計したジョー・ネイラー氏とは

レールとポールを組み合わせ、バランスの良い明瞭なトーンを作り出します!

このピックアップを開発したのが、伝説と言われる設計者、ジョー・ネイラー氏です。

●JOE NAYLOR - RAILHAMMER FOUNDER

His story: visionary designer, weird kid

・Joe likes guitars. A lot

ジョー・ネイラーは1980年、19歳の時に最初のエレクトリックギターを買いました。そして1時間もしないうちに、そのギターはキッチンでバラバラに分解されていました。

そこでエレキギターに興味をもったジョーは、ギターに関することを仕事にしようと考えるようになりました。

勇み足すぎるかもしれません。しかし、ジョーにとって、それは正しい選択でした。母親がクラシックピアノの教師をし、父親はファゴットプレイヤー、3人の兄弟はギターをプレイするという音楽一家に生まれたジョーは、何かを作ることに魅了されていました。子供の頃、バルサ材で飛行機のモデルを作り、それは他の子の持つおもちゃとは比べ物にならないものでした。その頃から、ジョーのクラフトマンシップは芽生え始めていたのかもしれません。

ハイスクールに入ると、ジョーは自転車のメカニックの仕事をしました。そして、最初のエレクトリックギターに出会ったのです。それはまさに芸術と科学の結晶であり、クールな道具でした。

・Experience counts

情熱だけがあっても、経験がなければ意味がありません。そして、ジョーは自らの手を汚す準備ができていました。

大学ではロックバンドでプレイし、1981年には周りのミュージシャンのギターリペアを引き受けるようになりました。1986年に工業デザインの学位を取得しますが、ギタービルドへの情熱が収まらないジョーは、ギタールシアーを育てるRoberto-Venn School of Luthieryに入るため、1987年、フェニックスに向かいます。

この世界的な名門で、ジョーはエレクトリックギターとアコースティックギターの制作だけでなく、ピックアップのワインディングについても、John Reuter、James Weisner、William Eatonといったマスタールシアーから学びました。

カラマズーに帰ったジョーは、グラフィックデザイナーや設計者、そしてプロダクションスーパーバイザーといった日常の仕事をこなしながら、地下室に自らのショップを立ち上げてギターリペア、ギタービルド、そしてピックアップワインディングを行っていました。

そんな日々が5年間ほど続き、ジョーはデトロイトに移住し、Joe's Guitar Exchange & Repairをオープンさせます。

ここではリペアショップだけでなく、販売店を開設し、ヴィンテージギターやアンプのリペアと販売を行っていました。この時期は、市場にあふれる様々なギターやアンプをテストする機会にもなったことから、特に有意義だったと振り返ります。ショップは盛況で、ジョーは実際のプロが本当に必要とすることが何なのかを学びました。1993年、ジョーはNaylor Special Design 50 speakerを制作。これはヴィンテージスタイルのリプレイスメントスピーカーで、この世界のパイオニアとなるきっかけの1つとなりました。

1994年、このショップは、J.F. Naylor Engineeringという小さな工房として生まれ変わります。あの有名なNaylor Ampsのはじまりです。

ジョーがDan Russellと共同で開発した、特に高い評価を得るSuper-Drive Sixty アンプはハンドワイヤード・ブティックアンプ界における初めてのハイゲイン/マスターヴォリューム搭載のアンプとして知られています。オリジナルNaylorアンプは高い評価を得ており、Stevens (Billy Idol)、Vernon Reid (Living Colour)、Ron Asheton (The Stooges)、Billy Howerdel (A Perfect Circle)、Nick Perri (Silvertide)、Jagori Tanna (I Mother Earth)、Kenny Olson (Kid Rock),などのアーティストに使用されています。

1996年、ジョーはNaylor Engineeringの権利を売却し、新たにReverend Guitarsを設立しました。Reverend Guitarsのファクトリーの建設に携わりながら、夜になるとジョーは東デトロイトのJoe's Musicのリペア部門の仕事を行い、さらに1年間ほどはこの地区にあるより大きなリペアショップでは、ジョーはFenderとGibsonのリペアテックとしての仕事もしていました。

Reverend Guitarsは、1997年に最初のモデルを発売。革新的なハイレゾナンスボディデザインは、ジョーの特許( U.S. Patent No. 6114616)です。さらにReverendアンプとキャビネットのデザインを行い、DrivetrainペダルやAlltone speakersの設計もおこなっています。そして、Reverend Guitarsのギターやベースもジョーの設計です。

ジョーのデザインはクリーンかつハイパフォーマンスで知られています。

ジョーはReverend Guitarsで、そのユーザーである多くのアーティストと共に仕事をしています。Dan Auerbach (Black Keys)、Ron Asheton (The Stooges)、Bob Balch (Fu Manchu)、Jeff Young (Megadeth)、Billy Corgan (Smashing Pumpkins)、Reeves Gabrels (David Bowie, Tin Machine)、Audley Freed (Cry of Love)、Marc Ford (Black Crowes)、Pete Anderson (Dwight Yoakam)、Rick Vito (Bob Seeger)、Eiden Thorr (Valient Thorr)など、多くのプレイヤーがジョーのデザインしたギター/ベースを使用しています。現在、Reverend Guitarsはジョーのビジネスパートナー、Ken Haasがマネージメントを行っており、ジョーはデザインとテクニカルサポートに集中しています。

この鉄人デザイナー、ジョーは、さらに多くの革新的なギタープロダクツを生み出してきました。Armor Gold Cables、StringDog Products、the Heads Up Strap、そしてRailhammer Pickupsです。ジョーのデザインしたプロダクツは、多くのギターや工業誌において、19を超える賞を受賞しています。

・The quest for clarity

Railhammerは、ジョーがかつてたどった、Tone Questからインスパイアを受けてデザインされています。ジョーは、フロントハムバッカー、特にそのクリーンサウンドが好みです。しかし、歪ませるとネックのトーンはとたんにこもった音になります。特に巻き弦ではそれが顕著です。ジョーがある時、歪みとクリーンが素早く切り替わる曲を書いていましたが、そうすると歪みはリアで、クリーンはフロントで、という切替を演奏しながら行うのが不可能になってしまいました。どうすればよいでしょうか。

・It's alive!

考えたジョーは、ラボに向かいました。歪ませたリズムパートにも対応できるネックピックアップを作る。それがRailhammer Pickupのコンセプトとなりました。ジョーは最初のレールハムバッカー(バータイプのポールピースを持つハムバッカー)、ビル・ローレンスのXL500ピックアップのファンでしたが、巻き弦でのタイトでクリアな音色に対し、プレーン弦での音の薄さが気になっていました。そこで、巻き弦はレール(バータイプ)のクリアさを、プレーン弦にはポールピースの太さを合わせられたら完璧なのに。

そう思い立ち、ジョーはRailhammerピックアップのプロトタイプ制作に移ります。手始めに、ラボに転がっていたReverend Guitarsのピックアップをベースに、制作は始まりました。スチールブラケットからレールを切り出し、釘の頭を使って大きめのポールピースを作ったところ、それは完全に動作しました。

さらにブリッジピックアップでの実験を続けるうちに、このレールとポールピースを組み合わせたピックアップがブリッジポジションでも有効であることが実証できました。Railhammerピックアップのセットは、これまでのハムバッカーでは考えられない音の明瞭さとトーンバランスを実現していたのです。

・Test, revise, test, revise. Repeat

ジョーは、コンセプトを見つけました。次は開発が必要です。デザインワーク、テスト、細かな修正が数ヶ月続きました。レール、ポール、ベースプレート、ボビンなど、全てを開発しなければなりません。全く新しいコンセプトのピックアップのため、スタンダードなパーツは付けません。金型から全て開発する必要があります。

パーツのファイナライズが終われば、次はワインディングが始まります。素晴らしいワインディングのピックアップを1つ作るのは簡単です。しかし、それをライン工程に上げるのは容易いことではありません。ブリッジとネックのマッチングなども完璧でなければならないのです。40を下らないプロトタイプが作られました。様々なマグネットやワイヤーのコンビネーションを試すためです。

ジョーはその長年のデザイニングのキャリアから、適切なテストが製品の出来を左右することを熟知しています。ジョーはSchecter S-1をベースとしたピックアップテスト用のギター、“Red Betsy”を作りました。

ピックアップを素早く交換出来るよう、ボディバックに穴を開け、コントロールパネルにはクイックリリースクリップを取り付けました。Red Betsyなら、ピックアップ交換は30秒で完了します。

ジョーと、多くの親しいプロギタリストのテストにより、プロトタイプは様々な名ピックアップと比較を重ねました。ベストを求めるなら、そこに向けてテストを重ねなければならないのです。修正が重ねられ、テストを行い、また修正をする。その繰り返しが数ヶ月続きます。納得の行くものが完成するまで。Red Betsyもだんだんボロボロになってきました。

ほぼ仕様がかたまり、最後にギターそのものを変えてテストを行います。ソリッドボディ、セミホロウ、フルホロウ、ロングスケール、ショートスケール、セットネック、ボルトオンネック等々。テストと修正が続きます。そして遂に、あのジョー・ネイラーが納得するハムバッカーが完成しました!

・Railhammer rolls

Railhammerピックアップは、2012年1月、公式に発表されました。素晴らしいレビューやポジティブなプレイヤーからのフィードバックがジョーの元に届きました。

特に、ハムバッカーの巻き弦の音に明瞭さを求めるプレイヤーから多くのフィードバックをいただいています。Railhammerピックアップはそんなプレイヤー、そしてハムバッカーの新たなレベルを探すプレイヤーのためにデザインされています。

The tone quest continues. All aboard.